スピルバーグ監督作品「ミュンヘン」は実話。オリンピック最悪の悲劇

巨匠スピルバーグ監督の超問題作

「ミュンヘン」

オリンピック史上、最悪の悲劇といわれる「ミュンヘンオリンピック事件」、そしてその復讐劇を描いた映画です。

かなりヘヴィーすぎる内容&残虐な描写もあり、日本ではPG-12指定(12歳以下の子が見るには、親や保護者の助言や指導が必要)として公開されました。

ところで、皆さんはこの「ミュンヘンオリンピック事件」をご存じでしょうか。

今日は、映画「ミュンヘン」とその事件の裏側について語っていきたいと思います。

 

スピルバーグ監督作品「ミュンヘン」

画像出典:Amazon

あらすじ

1972年ドイツのミュンヘンオリンピックで事件は起こった。

「黒い九月(ブラック・セプテンバー)」というパレスチナ過激派組織が、オリンピックの選手村に侵入。イスラエル選手団を人質にとり「パレスチナ人解放」を訴えたが、結局コーチを含め11人が死亡という最悪の結果となった。

このテロ事件にパレスチナ政府は報復を決意。そこで復讐役として選ばれたのが、主人公“アヴナー”である。

アヴナーと仲間4人は、今回テロを起こした「黒い九月」のメンバーを暗殺するため、彼らが活動するヨーロッパへと向かった。

1人また1人とターゲットを殺していくうち、今度は仲間にも魔の手が忍び寄る。

「追う側から、追われる側へ。」

暗殺者となった主人公の心理はどうなっていくのか。報復の連鎖は…。

原作は実話をもとにした小説

原作は、実際に暗殺計画のリーダーと名乗る男の証言を基にした「標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録」というノンフィクション小説です。

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ちなみに、主人公“アヴナー”のモデルとなった暗殺リーダーは現在アメリカで生活をしているそうですよ。

驚くべき映画のトリビア

なんとこの映画の撮影裏には、驚くべき事実がありました。

トリビア1

映画の序盤で殺されたイスラエル人コーチは、実際に殺されたコーチの息子さんが演じています。

トリビア2

アパートを襲撃するシーンで、女装したイスラエル軍の男がいますが、この人は実際のアパート襲撃でも女装して突入した本人。しかも彼は後に、イスラエルの首相になったエフード・バラックなのです。

映画とリアルがつながっている、すごいキャスティングですね。主人公のアヴナーは「ハルク」のエリック・バナが演じています。

「平和の祭典」のはずが血の惨劇さんげきと化した、ミュンヘンオリンピック。こんな事件が起こっても大会は中止にはならず、主な種目は開催されました。

日本人選手が大変活躍した大会でもありましたね。

バレーボール男子が「ミュンヘンの奇跡」とも呼ばれる大逆転劇で金メダルをとり、体操では塚原光男が初めて「ムーンサルト(月面宙返り)」を成功させ世界を震撼させました。

映画への賛否

ユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグ監督作品ということもあって、当初はユダヤ人寄りの目線で描かれるかと思われていましたが、映画が公開されるやいなやイスラエル諜報特務庁(モサッド)、パレスチナの両方から非難を浴びる問題作となりました。

でも、僕としては片方の肩を持つような作品じゃなかったから、逆によかったかもな~。

スピルバーグ監督って、ファンタジーからサスペンス、実話を映画にした「ミュンヘン」や「シンドラーのリスト」など様々なジャンルを手掛けていますよね。まさに巨匠。

他の映画についてもこちらの記事で紹介しています。

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ミュンヘンオリンピック事件の背景「中東問題」

ミュンヘンオリンピック事件はなぜ起こったのか。これが、この映画の根本の鍵を握る問題だと思います。

なぜ「黒い九月」はイスラエル選手団を狙ったのか。

これには、パレスチナの地をめぐる中東問題(一言で片付けちゃっていいのかな。)が深くかかわっているようです。

しかし、この中東問題、日本人の僕からするとかなり難解。この映画を見たあとに少し調べてみたのですが、土地と民族の歴史や周りの国々の干渉もあってなかなか複雑です。

パレスチナ人とユダヤ人が「俺の土地だ!俺の土地だ!」とパレスチナの地をめぐって紛争を繰り広げているんだよね?
映画の背景をどんどん知りたくなってきましたよ!
中東問題について

パレスチナ人の祖国を持たない悲痛な思い

映画の中で、主人公とパレスチナの青年が語り合うシーンがありました。パレスチナ人はよその土地に追いやられてパレスチナ難民になったという歴史があるんですね!

青年は「国を持たない悲しみ」を嘆いていて、「祖国をなんとかして取り戻したい」という思いを語っていました。

映画でパレスチナ側の意見を代弁しているようですよね。

同時多発テロを彷彿とさせる演出

映画の最後のシーンは主人公が移り住んだニューヨークです。バックには、あのアメリカの9.11同時多発テロ事件で破壊された世界貿易センタービルがCG合成で映し出されています。

この演出はスピルバーグ監督が、見る人にテロについて何か問いかけている証なのでしょうか。

 

まとめ

「ミュンヘン」ってかなり根深い問題をテーマにした映画ですよね。

まさにヘヴィー級です。復讐の連鎖が起こっていく様子や、暗殺する側から暗殺される恐怖に怯えて落ちていく主人公の様子も見どころです。

暗殺者の心理、民族の問題、復讐の連鎖。見た人に問題提起をして、色々なことを考えさせてくれる映画だと感じました。きっと監督からのメッセージがたっぷり詰まっています!

映画の中だけではなく、本当にこの世界で起こっている問題でもあるんですよね。

映画を見て、世界の問題を知ってみるのもいいかもしれません。

オリンピックでテロ事件とは、考えただけで恐ろしいですよね。東京オリンピックが平和の祭典になりますように。

コロナも終息してほしいな~。

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