”死役所”ドラマ5話『林晴也』。過酷な人生と祖父(伊藤洋三郎)との関係

優子
胸が痛いわ…。
どうしたの?ドラマのイケメンにキュンキュン?
優子
いつもならそうなんだけどね。
『死役所』はネガティブな面を含めて色々考えさせられるドラマなのよ。
もしかしてドラマについて話したい?
優子
うん。

というわけで、へヴィーな内容だけど皆さんにも聞いて欲しい、見て欲しい『死役所』第5話。

号泣間違いなしのシ役所職員のハヤシの物語をお話させていただきます。

今回もネタバレを含みます。先にドラマを見たい方最後へどうぞ。

 

『死役所』第5話ドラマキャスト

  • ハヤシ(林晴也) – 清原翔 :シ役所職員。今まで気にしてこなかった罪の反省について考え始める。
  • 樋田まりあ-岡野真也 :ハヤシの幼馴染
  • 林理花-土居志央里 :ハヤシの姉
  • 林清三-伊藤洋三郎 :ハヤシの祖父
  • 林雄作 – 草野康太 :ハヤシの父
  • 墨谷 – 黒木ひかり :ハヤシに思いを寄せる女子生徒。ハヤシやまりあの同級生。

 

『死役所』ストーリー:第5話「林晴也はやし はるなり

前回の『死役所』(4話「初デート」)

伊達夏加(豊嶋花)は「初デート」中に不慮の事故にあい、シ役所にやってきました。

失恋はしたものの転校前にデートに付き合ってくれた智也(山井飛翔)との最高の思い出に想いを馳せるも事故でズタズタになった自身の容姿を嘆いていました。納得できなくても仕方ない。手に持っていた智也とのお揃いのボールペンを手に早々に成仏していきました。

同様に自分の死を生活事故死と認められないミチル(黒島結菜)でしたが、自分が認められなくても事実は変わらない。次に生まれ変わったら絶対に人生を楽しむ!と前向きに軽やかに成仏へと旅立っていきました。

手続きを受け付けたハヤシは、ハヤシ(清原翔)の過去を知ったミチルから尋ねられました。

本当に後悔してないの?お姉さんのことも?殺人犯の姉になっちゃったんだよ?」と。

このような事を聞かれてもハヤシは「殺した事に後悔はない」ときっぱりと言います。ですが唯一心にひっかかったことがあります。姉のこと

ハヤシは死刑になってから初めて”罪の反省”に興味をもつが…

優子
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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ハヤシ、「林晴也」だった人生を振り返る

シ村(松岡昌宏)はハヤシに「自分の罪の反省ってどうやってやるんだろう?」と聞かれ、まずは振り返ってみることから始めてみては?と勧めました。

ハヤシはどこから話していいか解らなかったのですが、シ村からどこからでも話したいところから話せばいいと促されて自身の人生を語り始めました。

ハヤシの思い出は高校までさかのぼります。ハヤシこと林晴也はやし はるなりは幼い頃より祖父・清三(伊藤洋三郎)に懐いていて剣道を習っていました。

祖父の清三、実は元々名の知れた俳優だったため、ハヤシの自慢の祖父でもあります。稽古にはいつもまりあを同行して祖父を含め3人で談笑したことも。

いっぽう、父の雄作(草野康太)とは3年も口を聞いていない程の不仲で、母が亡くなったころから父の様子がおかしくなり冷たくなったと感じていました。

そんな状況の中、清三が体調を崩して倒れ、入院しました。祖父は入院したまま良くなることはなく亡くなってしまいます。

入院中、お見舞いに訪れたまりあに祖父は「突っ走ってしまったら方向転換をして欲しい」と晴也のことをなぜか心配し頼んでいました。

尊敬する祖父・清三(伊藤洋三郎)の秘密

葬儀を終え、位牌いはいの前でぼーっと座っている晴也の元に酷く酔っぱらった父がやってきて言いました。

「死んだな。お前の親父。」

晴也も姉の理花(土居志央里)も何を言っているのかわかりません。

すると父は「お前はな、俺の女房とおやじの子供なんだ。笑えるだろ。妻を自分の親父に寝取られたんだ」そう言って泣き崩れました。

少し時間がたって、晴也の元に姉がやってきました。姉はあの後父から全てを聞き、父に何があったのかを話し始めました。

母が亡くなった後、父は母の手紙を見つけ秘密を知ったとのこと。母は元々名の知れた俳優である祖父のファンで憧れの人だったそうです。2人は関係を持ち、晴也が生まれたことを知った雄作は、晴也と距離をおくようになりました。

驚いた晴也はあまりのことに「うわぁーー!!」と爆発。骨壺を手に取ると、蓋を開けベランダから祖父の遺骨を捨ててしまうのでした。

泣きじゃくる晴也を「私は何があっても味方だから…」抱きしめる姉。

晴也は”なぜ母が手紙を残していたのか?父はなぜそれを伝えたのか?姉が羨ましい…”などと悶々と過ごしていました。悩んではいましたが姉の支えもあり、学校では普通に過ごしていたと言います。

元俳優の清三ゆずりなのか、晴也はすらりと背も高くなかなかのイケメン

時々女子からカラオケなどのお誘いを受けますが、まりあ一筋だった晴也はいつも断っていました。

まりあは嫉妬した同級生から徐々にいじめを受け始め、最初のうちは気が付かなかった晴也ですが、暴行に至った頃、女子が噂していたことで気が付きます。

晴也はまりあがどこにいるかを女生徒から聞き出し直行。するとリンチのように数人に囲まれトイレの便器に顔を突っ込まれているまりあを目撃しました。

激怒した晴也は主犯格の女子・墨谷(黒木ひかり)の胸ぐらをつかむと締め上げそのまま窓際へ。締め上げた勢いを緩めることなく窓の外に上半身が乗り出したと思った瞬間、墨谷は地面に落ちていました

落とされた女生徒は幸い軽症で済みましたが、晴也は退学処分になりました。

近所の目もあり晴也は家を出て、空き家になっている祖父の家へ引っ越す事にします。

荷造りをしていると、姉から通帳が渡されます。中身を見て「どうしたの?こんな大金…」。

すると姉は、おじいちゃんが晴也の為に貯めてたみたいよ。お父さんが見つけて晴也に渡しておいてって言われたの。お父さんも苦しんでたと思うよと。

父が苦悩していた事を聞いて、通帳の額面を見ながら考え込む晴也でした。

晴也は剣道を子供に教え、保護者からの評判もまずまずです。まりあも高校を卒業し、介護福祉士となり2人は結婚しました。

結婚後、晴也は自身の出生についてまりあに話し、娘も生まれ充実した日々を送っていました。唯一残念なのは、あまり子育てに参加させてもらえず、懐いてもらえないこと。

ある日帰宅後、寝ている娘を見ていると夜泣きし始めたため抱っこしました。するとすぐにまりあがやってきて、とりあげるように娘を抱くと「さっきねたばかりなのに!」とかなりのご立腹。妙に違和感を感じましたが、晴也は仕方ないかと思ったので口をつぐみました。

娘が1歳になる頃、まりあから早く帰ってきてと頼まれました。最近夫婦の時間がなかった晴也は、まりあと過ごす時間を楽しみに帰宅します。

すると部屋には見知らぬ男が…

男はまりあの元同僚だと言います。男は土下座して「まりあさんと別れてください!!」と言いました。

まりあは、晴也から祖父の息子だと聞かされて以来悩んでいたそうで、凄く苦しんでいるから解放してあげて欲しいと。その上、男は驚いたことに、娘は晴也の娘ではなく自分の娘だと言う。悩みを聞く間にそういう関係になったと。

晴也は振り返れば思い当たる節がありました。娘に触る事を嫌がるまりあ夜の誘いは疲れていると決して応じないまりあ。それも祖父の話をしたころからだ…。

そして、晴也は悲しい表情でまりあに本当か尋ねました。まりあは顔をそむけるだけで答えようとしません。

するとよちよち歩きを始めたばかりの娘が立ち上がり、「パーパ」男の方へ歩いていきます

男が娘をだっこしたのをみて、晴也は現実を知りました。

晴也は無表情になり「まりあ…俺のこと気持ち悪かったんだ…」そうつぶやくと、木刀を手に…

「ゥワアアアアアアーー!!!」

晴也は何度も木刀を振り下ろしました。

ピピピピピピピピ…

晴也の携帯に姉から電話がかかってきました。

晴也「姉ちゃん…俺、気持ち悪いかな。」

微かに泣きながら聞く晴也に姉は答えました。

姉「何言ってるの!そんなわけないでしょ!私の弟なんだよ。誰の子供とか関係なく無条件に。…何があったから知らないけど、くだらないこと考えるんじゃないよ!

それを聞くと晴也は「ありがとう…ごめん…」そう言い泣きながら電話を切りました。

ぽろぽろ涙を流す晴也の後ろには、血を流した3人の姿が…。

林 晴也はやし はるなり

乳児を含む男女3人を殺害。最高裁にて死刑確定。

ハヤシはシ村に気持ち悪いものか尋ねますが、「人それぞれでしょうね」と。彼自身は気持ち悪いとは思っていなさそうです。

ハヤシはミチルに言われた言葉が心に刺さったけれど、過去は変えようがないし、殺したことに後悔はないと言います。それに対しシ村は、それでは反省は出来ないだろうことと、今は反省より自分の感情に向き合う事が必要だろうと助言しました。

なぜ憎しみを抱いたのか?なぜ自分を支えてくれた人の命を奪ったのか?ハヤシに殺された3人は同時期に、ここ”シ役所”を訪れたはずで、どんな気持ちでどんなことを考えて申請書を記入して成仏したのか?自分を理解し、相手の気持ちを考える事が出来れば反省する事もできるかもとしれないと。

ハヤシが「まだそこまでは考えられない」と言うと、シ村は今はそれでいいのではないかとハヤシの話にキリをつけました。

シ村に話した事で少しスッキリできたハヤシはシ村に礼をいい、シ村が振り返りたい事、話したい事があれば全部受け止めるから話してくださいと申し出ます。

それを聞いて「ありがとうございます」とシ村が自然な笑顔を見せたため、驚いたハヤシは思わず「そんな顔でも笑うんっすねー」と言うと、彼はすぐさま元の表情に戻したのでした。

第5話終わり

 

過去と向き合い「一歩前へ」

ハヤシの人生は精神的に苦しく苦悩に満ちたものでした。

ハヤシ視点でのポイント

・母はハヤシが中学生という早い時期に亡くなる
・父の態度がなぜか変わり家族が不仲になる(父と祖父、父とハヤシ自身)
・祖父が亡くなった後、母と尊敬していた祖父の不倫を知った事、そして2人への失望
・母と祖父の子供である事を父から教えられる
・通帳から、それでも自分に向けられていた父・祖父の愛情を知り葛藤する
・自分の出生と父の冷遇から自分が気持ち悪い存在なのかと苦悩する
・自分の人生を棒に振るほどの行動で恋人をいじめから守り高校を中退
・完璧に信頼して話した出生の秘密をまりあは他人に話してしまう
・自分を犠牲にしても守った相手の裏切り(不倫)
・初めての子供だと思って育てていた娘は不倫相手の子供だった
・まりあの行動や態度から、やはり自分は気持ち悪い存在なのかと絶望する
・理不尽とも思っていた父と同じ経験をする

と整理しても、簡単に向き合ったり腑に落とすことは難しそうですね。

まりあ視点からは

・幼馴染のハヤシと恋人になる
・ハヤシがモテるため、嫉妬をかい、いじめられるようになる
・いじめがエスカレートした末に恋人が自分を守る為に重大事件を起こす
・卒業後、結婚するも出生の秘密を打ち明けられ苦悩する
・同僚に相談するうちに仲良くなり不倫関係に。別れを切り出せないまま子供を産む
・不倫相手の子供である事を隠して暮らし苦悩する

まりあが単にハヤシの出生が変わっていたことから偏見をもったのか、嫌悪感を持った場合はそう感じる自分自身に嫌悪を抱く可能性もあります。他には自身の人生を振るほどの行動で自分を守ってくれた相手に流され付き合ってきた結果なのか、または単に自分の浮気の言い訳をハヤシの出生の秘密にこじつけた可能性もあります。

過去の思い出は、ハヤシが知っている範囲でしかありません。ですから色んな予測ができますが、それはまりあが語らない限りわからないんですよね。これまたハヤシにとって悩ましいことかと思います。

他人の気持ちはなかなか解らないものですが、唯一間違いないのは『姉の無条件の愛』でした。

姉本人も、「何があっても味方だから」と言って抱きしめてくれましたね。そして殺人後もハヤシに冷たくなることはなかったようです。(あ、ここはいい忘れていました!)

彼にはすこしずつでも自分の気持ちと向き合って、相手の気持ちにも寄り添う事で罪の反省や人生について納得できることを願います。

優子
興味深いドラマなのでぜひ皆さんも見てみてくださいね!
福&優子
それではまた次の『死役所』でお会いしましょう!
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