え?古くさい?それは誤解ってもんですよ。
コナン・ドイル作の「シャーロック・ホームズ」という推理小説は幾度となく映画化、ドラマ化されてきました。原作が出版されたのは実に100年も前のことです。
2010年イギリスBBCは「シャーロック・ホームズ」を原作にしたドラマを放映しました。
その名も「シャーロック」
あ、そのまま(笑)
「シャーロック」だって今までのものと似たようなものでしょ?なんていう人たちの予想を見事にぶった切ってくれました!
視聴率、1話あたりのTweet数、共に英国ドラマで史上最高の数字を叩き出すほど超人気作に。
現在(2020年4月)はシーズン4まで放送されています。
「シャーロック」の愛すべきメインキャラとキャスト紹介
シャーロック・ホームズ
原作を読んだことのない人も名前だけは知っているシャーロック・ホームズ。
鋭い観察力とひらめきでどんな難解な謎も解き明かしてしまう探偵さんです。作中では自身を「探偵コンサルタント」と名乗っています。
原作でトレードマークだったパイプは本作でニコチンパッチに変わりました。
雰囲気ぶち壊しなところも現代っぽくていいですね。
頭はいいけど友達はいません。恋愛にも興味がありません。事件解決に貢献しているのに、警察からも変人扱いされていました。
自分で自分のことを「高機能ソシオパス(※注1)」と言っていますが、ちゃんと温かい感情も持っています。パートナーであるジョンと関わるうちに、人間として成長していくさまも見ものです。
兄マイクロフトに対して強いコンプレックスを抱いています。「ホームズと呼ばれるとたいてい兄のことだ」と言うシャーロック。このコンプレックスさえもシャーロックの愛すべきポイントです。
推理は実に鮮やかです。本作ではシャーロックの脳内の引き出しから引っ張り出してきた情報や記憶、推理が画面上に出てくるので視聴者はスピーディな推理を楽しむことができます。福山雅治さん主演の「ガリレオ」でも似たような演出がありました。
ソシオパスとは反社会的な行動や気質を持つパーソナリティ障害のこと。
演じているのはベネディクト・カンバーバッチ
ベネディクトは俳優ティモシー・カールトンと女優ワンダ・ヴェンサムの元に生まれました。両親は安定した職について欲しいという思いからベネディクトにエリート教育を受けさせ、自身も弁護士を目指したこともあったようです。確かにシャーロックがお似合いの賢そうなお顔です。
ところがやはり惹かれるものがあったようでベネディクトは演劇の道に進みます。両親の遺伝子を受け継いでさぞ華々しい俳優道を進んでいくのかと思いきや、そうそう上手くいかないのが人生です。
多くの賞をもらいながらも「シャーロック」に出演するまで重要な役柄のオファーはありませんでした。
ベネディクトは「シャーロック」の主役を演じるにあたって、原作「シャーロック・ホームズ」を全編(何と60編!)読破したそうです。かなり役に入り込んでいますね。そして、気合い!
またベネディクトはコナン・ドイルとも血縁関係にあるとかいう話も。うんうん、シャーロックに役がピッタリハマったのも納得です。
ジョン・ワトソン
軍医としてアフガニスタンにいましたが、肩を打たれた怪我のため帰国してきました。外因的な怪我は治ったけれど撃たれたときのショックが大きくPTSD(※注2)は治癒していません。
縁があってシャーロックと同居し、助手になることに。人情派で危険がちょっぴり好きな普通の人です。
恋愛にも興味ありありなので、ゲイだとかシャーロックと付き合っていると思われることを相当嫌がります。
でも変人シャーロックの唯一無二の親友です。
演じているのはマーティン・フリーマン
幼い頃に両親が別居、その後父を亡くし15歳で劇団に参加、演劇を学んでいきます。映画やドラマ、舞台にラジオなど幅広い活躍と、その演技力で少しずつ名前が知られてきました。
イギリスでヒットしたテレビシリーズ『The Office』では主要人物を演じ、一躍人気俳優に。その後エミー賞・エンパイア賞・英国アカデミー賞などを受賞し、名実ともに実力派俳優となったのです。
ジョンを演じるにあたって、オシャレ番長マーティンは「ジョンがいつも履いているジーンズはこのブランドがいい」と制作側に要望しました。
そのブランドとは「ユニクロ」です。
「履き心地がよく自分の体型にピッタリ馴染んでいる」からだそう。高級ブランドがバンバン出てくる「シャーロック」に「ユニクロ」が採用されるなんて、一気に親近感が湧きますね。
時代が変わった今作では「シャーロック」「ジョン」と呼び方も変わっています。小さなことにもこだわり!制作側の「シャーロック」愛を感じます。
ジム・モリアーティ
シャーロックを何とか陥れようと罠を仕掛けてくるいわば宿敵です。頭脳明晰な自称「世界唯一のコンサルタント犯罪者」であり、猟奇的な部分があります。
ゲームのように殺人や誘拐も行ってしまうのです。気分次第で人を殺すので、心から信頼しあえる仲間はいません。自分の命にさえ興味はなくシャーロックも振り回されることになります。
演じているのはアンドリュー・スコット
アイルランド出身。幼少から演劇スクールに通っておりアイルランドのCMにも出演していました。17歳で映画初主演。2005年には「007スペクター」にも出演を果たします。
モリアーティを演じるにあたり、役作りとして原作「シャーロック・ホームズ」を、あえて読みませんでした。自分のイメージだけで役作りすることで、かなり狂気的な、かつ敵役として魅力的なモリアーティができあがったのです。
アイリーン・アドラー
恋愛に興味のなかったシャーロックが唯一恋に落ちた女性。SMの女王様で原作でも人気のキャラクターです。妖艶で作中でも大胆なヌードを披露しています。
裏社会を知り尽くしており、命を狙われながら自分が得する方につき命を守ってもらい、大金を稼いで暮らしす謎めいた悪女です。
演じているのはララ・パルヴァー
音楽好きの両親の元に生まれます。10歳の頃には両親が離婚。母の勧めでダンスや演劇を始めます。13歳からは本格的に演劇を学び、大学でも演劇を専攻しました。
2009年ドラマ「ロビンフッド」でTVデビューし、2011年にはスパイドラマ「MI−5 英国機密諜報部」のファイナル・シーズンに出演し注目されました。
「シャーロックシーズン2」のあらすじ(ネタバレあり)
シーズン2は全3話。1話ずつが90分弱もあり映画のように見応えのあるストーリーです。では若干ネタバレ込みであらすじを紹介していきます。
シーズン1のあらすじはこちらの記事で。
福 こんにちは、福です。外出自粛が続き、家でぼーっとする時間が多くありませんか? そんなみなさんに今回オススメするのは、ずばり!ミステリードラマ『シャーロック』です。 福 頭を使うドラマを見て、脳を活[…]
第1話 ベルグレービアの醜聞
シーズン1のラスト、宿敵モリアーティとの対峙シーンから始まります。命をかける男たちの張り詰めた空気が漂っていましたが、モリアーティの電話が鳴ることにより命拾いするシャーロックとジョン。
まさかモリアーティの電話相手にシャーロックがこのあと翻弄されることになるとはこの時は思いもよりませんでした。
刑事に頼まれた事件、依頼人に頼まれた事件の2つをを抱えている中、シャーロックとワトソンは突然何者かにバッキンガム宮殿に連れて行かれます。そこにはシャーロックの兄マイクロフトがいました。国家のお偉いさんの依頼を伝えに来たのです。
ある女性から重要な写真を取り返して欲しいとのこと。脅してくるわけではないということに興味を抱き依頼を受けることに。その女性とはSMの女王様アイリーン。モリアーティの電話の相手でした。
シャーロック達は無事アイリーン宅に侵入しましたが、既に彼女に気づかれていました。シャーロックの前に現れたのは裸のアイリーン。驚いたシャーロック。持ち前の観察力を持っても彼女から情報は読みとれません。シャーロックが何も読み取れないということは初めてです。
ジョンの起こした偽装騒ぎでアイリーンが思わず絵画に向けた目線をシャーロックは見逃しませんでした。人は動揺すると本心を隠せなくなるものです。同じくアイリーンを狙う3人と対峙しましたがシャーロックの賢さが上回り難を逃れます。
アイリーンのことが忘れられないシャーロック。初めての恋です。ところが、アイリーンが亡くなったという知らせが・・・。
シャーロック、初恋&大失恋?!
第2話 バスカヴィル犬(ハウンド)
ジョンがPTSD克服のため始めたブログはいつの間にかシャーロックの探偵日記のようになっていました。フォロアーも増えて、シャーロックへの事件依頼も増えて、今やもうシャーロックのためのブログです。
そんな中、小さい頃父親がダートムアの窪地で大きな獣に襲われて殺されてしまったという少年ヘンリーがシャーロックに依頼をしてきます。ヘンリーの記憶では襲ったのは赤い目をしたハウンド(狩猟用の犬種)だったと。20年ぶりに同じ窪地を訪れると大きな足跡がありシャーロックの元へ依頼しに来たのでした。
ハウンドと消えた父親の死体に興味を持ったシャーロックは依頼を引き受けます。
ダートムアには遺伝子研究施設があり、そこで動物実験でも行われているのではないかとヘンリーは推理。聞き込みをするとハウンドのことは皆知っており、そのお陰で観光客が増えて感謝している様子でした。
研究所でバカでかいネズミを見たとの聞き込みから研究施設に目をつけたシャーロック。偽装して政府の捜査だと言い施設に入ることに成功します。途中でバレそうになりますが、ジョンのブログのファンだというフランクランド博士に助けられ事なきを得ます。
問題の窪地にシャーロック達も行ってみました。そこでシャーロックは恐ろしいものを目にしてしまい、パニックを起こし震えが止まらなくなります。シャーロックが見た光景が事件解決のヒントになります・・・。
大きなハウンドの正体とは?!
第3話 ライヘンバッハ・ヒーロー
盗まれた絵画「ライヘンバッハの滝」を取り戻したシャーロックは有名人になっていました。こんな時こそ小さな事件から解決していかなければ、とジョンは慎重です。
モリアーティは新たな計画を立てていました。英国でも最も厳しいセキュリティのかかっているはずのロンドン塔、イングランド銀行、ペントンビル刑務所の警備システムがハッキングされたのです。モリアーティは遠く離れた場所で、スマホ片手に何やら操作しているだけです。
警察の大混乱に乗じて王室の宝物を狙う人物がいました。そして警察が近づいているにも関わらず焦らず優雅に犯行を行う大した度胸の犯罪者。もちろんそれはモリアーティです。
警察到着前に華麗に逃げたかと思われましたが、王室の宝物の立派な椅子に座って警察を待ち構えていました。さすがコンサルタント犯罪者!何やらにおいます。
あっさり逮捕されたモリアーティの裁判の鑑定人として呼ばれたシャーロックははりきってモリアーティについて話します。ですが、聞かれてもいないのに空気を読まず知識をひけらかすことで裁判を侮辱したとされ裁判を見ることができなくなってしまいました。
結果は無罪。モリアーティは釈放です。ジョンは「モリアーティはきっとシャーロックを狙ってくる」とシャーロックに忠告します。
迫りくるモリアーティの罠の数々・・・。
振り回されるシャーロックはモリアーティに勝つことができるのでしょうか?!
「シャーロック」の世界へいざ!
新聞がネットに、電報がメールに、馬車がタクシーに変わってもシャーロックの推理力は時を超えた気持ちよさがあります。
イギリスの国民的ドラマになった「シャーロック」の世界にさぁ飛び込んでみましょう!!
こぼればなし
シャーロックたちが住むアパートの階段は原作では17段。ドラマ「シャーロック」でも17段で造られています。
原作への愛、「シャーロック」への愛が止まらない!