『ジュディ 虹の彼方に』とは?
映画『ジュディ 虹の彼方へ』が、2020年3月6日(金)より全国ロードショーとなりました。
この映画は『オズの魔法使い』(1939)や『スタア誕生』(1954)で知られるハリウッド黄金期のミュージカル女優ジュディ・ガーランドの最晩年である47歳のロンドン公演での日々を描いた作品です。
『ジュディ 虹の彼方に』のあらすじは?
かつてはミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨していたジュディ・ガーランドが窮地に立たされていた。
1968年、度重なる遅刻や無断欠勤のせいで映画出演のオファーも途絶え、今では巡業ショーで生計を立てているのだが、住む家もなく借金は膨らむばかり。
まだ幼い娘と息子をやむなく元夫に預けたジュディは、ロンドンのクラブに出演するために独り旅立つ。
英国での人気は今も健在だったが、いざ初日を迎えると、プレッシャーから「歌えない」と逃げ出そうとするジュディ。
だが、一歩ステージに上がると、たちまち一流エンターテイナーと化して観客を魅了する。
ショーは大盛況でメディアの評判も上々で、新しい恋とも巡り合い、明るい未来に心躍るジュディ。
だが、子供たちの心が離れていく恐れと、全存在を歌に込める疲労から追い詰められ、ついには舞台でも失態を犯してしまう―――。
ジュディは誰?
レネー・ゼルウィガー(ジュディ・ガーランド)
1969年4月25日、アメリカのテキサス州出身のレネー。
今年51歳の彼女が、47歳のジュディ・ガーランドを演じることに。
2001年に、同世代の女性から多くの支持を受けた大人気『ブリジット・ジョーンズの日記』で、主人公のブリジット・ジョーンズを演じました。
この作品でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたのです。
レネーは、その後シリーズ2作品でも主演を務め、人気を不動のものとしました。
翌年2002年のミュージカル映画『シカゴ』では、主人公ロキシー・ハートを演じ、2度目のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
また2003年には映画『コールド マウンテン』では、インマン(主演:ジュード・ロウ)がいなくなった後のエイダ(ニコール・キッドマン)を支える力強い女性ルビー役を演じ、アカデミー賞助演女優賞など受賞したのです。
そんなレネーが『ジュディ 虹の彼方に』では、愛すべき女性像とその圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつけたジュディ・ガーランドを見事に演じきりました。
レネーの作品はどこで見れる?
レネーの過去の作品は、以下の動画配信サービスで見ることができます!
『ブリジット・ジョーンズの日記』
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『シカゴ』
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『コールドマウンテン』
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『ジュディ 虹の彼方に』 感想 (ネタバレあり!閲覧注意!!)
現代社会の問題を映し出す鏡
この映画はジュディの人生を描いた作品でありながらも、現代の社会問題を投げかけている作品だと感じました。
ジュディは10代という成長期にも関わらず、周りの大人たちから商売道具としてすべての行動を管理され、薬でコントロールされて、体系維持のために好きな物を食べることさえもできませんでした。
表向きは多くの人々を魅了するスターだが、裏では操り人形のように大人たちに支配されていたなんて、不条理な話です。
このジュディに対する会社の人や周りの大人達の扱いは、まさしくパワハラやセクハラと言って過言ではありません。
2017年にはハリウッドの映画プロジューサーによるセクハラ疑惑により「#Me Too」運動がニュースで報道され、話題になりましたね。
ジュディの時代から現代まで程度の差こそあれ、強く権力がある者から弱い者への圧力や暴力はなくなっていないことが浮き彫りになりました。
またジュディが「同性愛者のシンボル」ということは有名な話で、映画の中でもゲイのカップルが登場します。
このカップルはジュディのファンで、彼女と食事に行って親交を深めるシーンも。
現代はLGBTQという言葉が少しずつ浸透し、理解されやすくなってきています。
しかし映画の舞台となる1968年頃は、同性愛者は犯罪者として逮捕されたり、病気として扱われ更生施設に入院させたれたりする時代だったのです。
そんな時代に生まれながらも、どんな人にも偏見の目を向けることなく接することができるジュディだからこそ、多くの人に長年愛される存在として語り継がれているのだと感じました。
そしてLGBTQのレインボーカラーは、ジュディの曲である『オーバー・ザ・レインボー』が由来という説もあります。
みんなが平和に自分らしく活躍できることが当たり前になることを願わずにはいられませんでした。
圧巻のレネー・ゼルウィガーの演技
そしてなんと言っても、『ジュディ 虹の彼方に』の最大の魅力は、主演のレネー・ゼルウィガーの演技でしょう。
映画の中でマネージャーのロザリン達と喫茶店でケーキを食べて、一言「おいしい」と言うシーンがあります。
子役時代にハリウッドでミュージカルに出演していた彼女は、体重が少し増えてしまい、会社から痩せるように命じられます。
ダイエットの為に、ファストフードやケーキなど自分の好きな物を口にすることは許されず、ジュディは自身の誕生日ケーキでさえも食べられなかったのです。
長い年月が経ち、マネージャーのロザリン達と喫茶店でケーキを食べようとするもののジュディは、落ち着かない態度でなかなかケーキに手を付けることができないのです。
このシーンに小さい頃から周りの大人たちに商売道具として扱われ、薬でコントロールされて大人になったジュディの壮絶な人生が集約されているようで、胸が張り裂けそうになりました。
これだけの行動でこんなにも多くの感情とその背景を感じさせてしまうレニーの演技は、熱演という言葉だけでは言い表すことができない位、素晴らしいものでした。
またレネーはジュディを演じるにあたって、ボイストレーニングや楽曲の練習に長時間を費やしています。
そのおかげで歌やパフォーマンスはもちろんのことながら、ジュディの訛りや声色までをも忠実に再現しています。
メイクも晩年のジュディに似せたということですが、とても47歳には見えないほど老け込んでいます。
しかし逆に言えば、それほどまでにジュディの人生が過酷で壮絶なものだったということだと思うと、納得がいきます。
ジュディの身に次々と降りかかる不幸は、映画を観ているこちらまでも辛くなるほどのものでした。
ここ数年は表舞台から遠ざかっていたレネーと再起を目指してロンドンで奮闘するジュディの姿が重なり、2人のシンクロする物語は一見の価値がありました。
熱演というものとも違う憑依とも感じられる演技は、アカデミー賞受賞も納得できる圧巻の演技でした。
『ジュディ 虹の彼方に』 アカデミー賞受賞!!
『ジュディ 虹の彼方に』で主演を演じ、華麗に復活した主演のレネー・ゼルウィガー。
この作品で彼女は、第92回アカデミー賞初演女優賞をはじめ、第77回ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ドラマ部門)などの数多くの映画賞で受賞しました。
映画を観る前は「アカデミー賞、獲ったのか。それなら観てみるか」とミーハーな気持ちで映画を鑑賞しに行った僕。
しかし今はそんな自分をぶん殴ってやりたいです。
そう思ってしまう位、レネーの演じるジュディの物語は壮絶で、しかし最後の『オーバー・ザ・レインボー』の合唱は涙なしでは観ることができない素晴らしいラストなのです。
ぜひこれから映画に向かう人はハンカチを忘れずに行って欲しいと思います!
サイト内の画像出典:ジュディ 虹の彼方へ公式サイト