「アイアンマン」トニー役の声優・藤原啓治さん｡突然の訃報を悼む

「アイアンマン」の主役トニー・スタークの声で映画ファンにはおなじみ。

僕のように子供と一緒にアニメを見る方には「クレヨンしんちゃん」の野原ひろし役で聴き慣れた、あの人気声優・藤原啓治さんが亡くなりました。

ネットニュースなどでも取り上げられ、SNSでも多くのファンがあまりに早すぎる藤原啓治さんの死を嘆きました。

「アイアンマン」トニー役でおなじみの声優・藤原啓治さんの略歴

藤原啓治さんの芸歴は文学座付属演劇研究所からスタートし、劇団木山事務所を経て劇団同期の声優のかないみかさんを通じて、賢プロダクションへ入所されました。

そして2006年には独立して代表取締役として事務所AIR AGENCYを立ち上げます。声優さんのマネージメントを手がけるだけでなく、音響監督しても活動の幅を広げました。

多面的で厚みのある演技が得意な声優

青年から老人まで、幅広く演じた藤原啓治さん。

代表的な役として挙げられるトニー・スタークと野原ひろし。どちらも中年男性の役ですが、方向性は全くの違います。一方は大企業を率いる実業家で自信に溢れたヒーロー。

かたや一般企業に勤めるサラリーマン。父親として家族のために頑張り、時に情けない姿を見せることもあります。

二枚目から三枚目、ヒーローから悪役まで幅広い藤原啓治さんの役を代表作を見てみましょう。

おなじみのヒーロー「アイアンマン」トニー・スターク

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飄々(ひょうひょう)とした態度と自信に溢れた立ち振る舞い。天才的な頭脳を持ち、大企業のCEOを務めるセレブとして世界的な知名度を持つトニー・スターク。

輝かしい経歴を持ちながらも衝動的な面があり、精神的に脆いという非常に複雑な人間性を持つトニーと、彼を演じるロバート・ダウニーjr.を藤原啓治さんがほぼ専属という形で演じていました。

また、藤原啓治さんご本人も思い入れがある役だったこともあり、「アベンジャーズ/エンドゲーム」を拭き替えられた際には感慨深かったと語っていらっしゃいます。

「クレヨンしんちゃん」野原家の大黒柱・野原ひろし

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足が臭くて、安月給と家族から言われてしまう。だけど、家族の誰もが本当は大切にしていて頼りになる。そんな父親が藤原啓治さんの演じる野原ひろしです。

野原家の日常を主人公のしんのすけを中心として描く「クレヨンしんちゃん」ですが、父親であるひろしをクローズアップしたお話もあり、ベスト盤まで発売されています。

特にその活躍が描かれているのは映画版です。

大人でも感動できるしっかりとしたストーリー構成をしていて、お子さんと一緒にご覧になると大人になった今だからこそ、ひろしの言葉に胸を打たれることでしょう。

アメコミ史上最高の悪役ジョーカー

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映画「ダークナイト」に登場したジョーカーの吹き替えを担当したのは藤原啓治さんでした。

史上最高の悪役との評価もあるヒース・レジャー扮するジョーカーは、金や地位といった表層的な欲望ではなく、秩序の破壊こそを望み自ら混沌の使者と名乗りました。

常識や倫理を悪い冗談と言い放つ悪役を藤原啓治さんはヒース・レジャー同様、内面にある押さえきれない狂気すら見事に演じました。

ジョーカーという難しい役は藤原啓治さんのキャリアをより確かなものにしたのです。

ヒットメイカーよしながふみの「西洋骨董洋菓子店」にも出演

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「大奥」「きのう何食べた?」などの映像化作品を生み出したよしながふみさんの出世作ともいわれる「西洋骨董洋菓子店」はドラマ化だけでなく、2008年にアニメ化もされていました。

深夜帯での放送でしたので、一般への認知度は低いかもしれませんが、藤原啓治さんは主役である橘圭一郎(たちばな けいいちろう)役で出演しました。

優れた頭脳を持ち、経営手腕も申し分ない橘ですが、実は甘いものが苦手という弱点が。その弱点は彼の過去に大きく関わっていて…。

そんな一筋縄ではいかない曲者を見事に演じました。

超人気ゲームファイナルファンタジー7リメイクに意外な役で出演

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中年男性などの渋くてかっこいい男性役が多い藤原啓治さんが演じたのは、ファンの間ではちょっと意外だと話題になったレノです。

青年役ということもあって藤原啓治さんには珍しく若干高めの声で演じられており、初めて聞いた時には誰もが驚かれたことでしょう。

敵役ながら非常に人気のあるキャラクターで、リメイクは続編の発売が予定されているだけに藤原啓治さんの訃報が残念でなりません。

藤原啓治さんへの追悼メッセージ

藤原啓治さんの代表作として挙げられる「アイアンマン」のトニー・スターク。

そして、「クレヨンしんちゃん」の野原ひろし。

二つの作品公式が、亡くなられた藤原啓治さんへの追悼メッセージを掲載しました。

「アベンジャーズ」公式

アイアンマン／トニー・スタークの日本語版声優として活躍された藤原啓治さんが逝去されました。
世界中で愛される人間味豊かなヒーローに、日本語で生命を吹き込んでくださった藤原さん。心からの感謝と哀悼の意を表します。

— 『アベンジャーズ』［公式］ (@AVG_JP) April 16, 2020

「クレヨンしんちゃん」公式

1992年の放送当初から2016年8月までの24年間、
野原ひろしの声優を務めていただいた、藤原啓治さんが逝去されました。
いつも優しく、ここぞという時に男らしい
野原一家の大黒柱・ひろしを演じてくださった藤原啓治さんのご冥福を心からお祈りいたします。

引用：クレヨンしんちゃん公式

声優・藤原啓治さんの名演は失われない

2017年の病気療養からの復帰を多くのファンが喜びました。

青年から老人。クールな役から熱血漢。二枚目に三枚目。ヒーローだけでなく悪役まで幅広く演じられ、CMなどのナレーションでも幅広く藤原啓治さんは活躍されました。

そんな藤原啓治さんの突然の訃報にファンだけでなく多くの声優さんも悲しみ、追悼しました。

その一つの形がテレビ朝日系で2020年5月2日に放送された「おらの父ちゃんは世界一SP」です。
藤原啓治さんが出演した放送開始時からの24年間の作品から3本をピックアップして放送しました。
さらにエンディングには藤原啓治さんが野原ひろし名義で歌った「北埼玉ブルース」を使用して追悼放送を締めくくりました。

本当に悲しいことですが、声優・藤原啓治さんは亡くなってしまいました。けれど演じられた声は、映像の中に確かに生きていると僕は思っています。

だからこそ、僕は藤原啓治さんの名演を見て、もう一度感動して熱くなったり、涙を流したいと思います。

みなさんも､トニーやひろしに会いに行きませんか?