『ハリー・ポッターと謎のプリンス』のあらすじ
2009年公開 / 153分
監督:デイビッド・イェーツ
支配を強める闇の勢力
前作の出来事のあと、復活が知られてしまったヴォルデモートは、容赦することなく攻撃を開始しました。
その影響は魔法界だけにとどまらず、マグル(人間)界でも闇の勢力の者たちが一般人を襲うようになっていました。
英雄扱いされることになったハリーも、ヴォルデモートの攻撃から身を守るために隠れ穴に身をひそめなければいけなくなりました。
そんな状況に危機感を抱いたホグワーツの校長・ダンブルドアは、ハリーを連れてある人物のもとに訪れます。
それは、かつてホグワーツで教鞭をとっていたホラス・スラグホーン先生でした。
もう一度学校に戻ってくれないかとダンブルドアは説得し、有名なハリーがいたこともあって、しぶしぶ引き受けることにしたスラグホーン。
スラグホーンの復職に対して、ダンブルドアにはなにか思惑があるようでした。
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その頃、スネイプのもとにドラコ・マルフォイとその母・ナルシッサ、そしてベラトリックス・レストレンジが訪れていました。
ドラコが「あのお方」からとても危ない仕事を任されたため、そのドラコをスネイプに守ってほしいとナルシッサは頼みに来たのです。
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その願いを聞き、ドラコを守ると言うスネイプ。しかし、スネイプのことをあまり信頼していないベラトリックスは、口約束だけでなくスネイプに「破れぬ誓い」を立てさせました。
新学期に出会った謎の教科書
やがてホグワーツ魔法魔術学校では新学期が始まり、ハリー達は6年生に進級しました。
復職したスラグホーンは魔法薬学の教授に、スネイプは闇の魔術に対する防衛術の教授に就任することが発表されました。
ハリーはもともとはスラグホーンの授業を取る予定はなかったのですが、マクゴナガルにすすめられて参加することにします。
そんなこんなで急きょ魔法薬学の授業に出席したハリーには教科書がなかったため、先生の棚から教科書を一冊借りました。
するとそこには「半純血のプリンス 蔵書」と書かれており、薬の調合方法や魔法に関してなど色々なことが書き込まれていました。
きっとすごく優秀な人だったんだろうなあ。
“Liquid Luck. One sip and you will find that all your endeavors succeed.” – Horace Slughorn pic.twitter.com/jFRQQ8RhtG
— Harry Potter Film (@HarryPotterFilm) June 3, 2014
ハリーは、この1年間ダンブルドアの個人指導を受けてヴォルデモートとの決戦に備えることになりました。
そしてある日ダンブルドアに呼ばれたハリーは、ヴォルデモートに関する記憶を見てほしいと頼まれます。
それは人の記憶を見ることができる「憂いの篩(うれいのふるい)」で、見せられた記憶はダンブルドアが初めてヴォルデモートに会った時のものでした。
ヴォルデモートはかつての名をトム・リドルといい、孤児院にいた彼はその才能を認められてダンブルドアの勧めでホグワーツに入りました。
そしてスラグホーンの元で学び、トム・リドルはスラグホーンから何かを教わっていたようなのです。しかしその記憶の大事な部分は抜け落ちていて見ることが出来ませんでした。
そのためスラグホーンに近づき、トム・リドルに関する真の記憶を手に入れて戦いの武器にするということがダンブルドアの狙いだったのです。
ハリーは「謎のプリンス」の教科書を使って優等生になり、ダンブルドアの指示通りスラグホーンのお気に入りになります。
しかしいざトム・リドルのことを聞こうとした途端にスラグホーンの態度が変わり、それ以降避けられるようになってしまいました。
メインキャストたちの恋にも進展が?
作品全体に暗く重い雰囲気が漂う今作の中で、唯一(?)のほっこりパートがハリー達の恋のお話です。
時を経るにつれハリーはロンの妹、ジニーに恋をするようになりました。けれどジニーにはその時付き合っている人がいました。ただ、あまり仲は上手くいっていないようです。
ハーマイオニーはロンを好きになりますが、ロンはラベンダーという彼女と付き合い始めてしまいます。
ハーマイオニーは落ち込みますが、ハリーも叶わない片思い中だったため、ハーマイオニーの気持ちに共感してハーマイオニーをなぐさめました。
叶わない恋に悲しんでいたハーマイオニーでしたが、ある日毒入りのワインを飲まされて失神したロンをラベンダーが介抱していたところ、無意識にハーマイオニーの名前を呼んでしまうという出来事が起きました。
その出来事をきっかけにロンとラベンダーは破局。ロンは何も覚えていなかったのですが、ハーマイオニーはとても嬉しそうでした。
この2人がこれからどうなるのか、ご注目。
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そんなことが起きているあいだ、ホグワーツにはしばらくダンブルドアが不在でした。
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幸運の薬で情報を入手!
色々なことがあって最近上手くいかなかったハリーは、スラグホーンにもらった「幸運の液体」を飲みました。
すると異常にテンションが上がり、気持ちのおもむくままに行動したことで最終的にはスラグホーンから「トム・リドルに関する真実の記憶」を手に入れることができました。
昔のトム・リドルはスラグホーンに、「分霊箱(ホークラックス)」について質問していました。
その記憶により、ヴォルデモートは自らの不死のために、分霊箱を作成したこと、それは1つではなく7つもあるということが判明しました。
けれど水に触れた途端に、無数の亡者が2人を襲ってきました。
毒で弱っていてもなおこれだけの魔法が使えるダンブルドア。
彼が20世紀で最も偉大な魔法使いと呼ばれる理由がわかります!
偉大な魔法使いがついに…。そして謎のプリンスの正体が判明!
ホグワーツに戻ると、ドラコ達を含むデスイーター集団がダンブルドアとハリーを待ち構えていました。
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ヴォルデモートの指令を受けていたドラコはダンブルドアを殺害しようと試みますが、おびえてためらってしまい、結局できませんでした。
するとそこにスネイプが現れます。
先ほどの毒薬と戦いで衰弱して戦う力の無いダンブルドアは「頼む」とスネイプに言いました。
しかしそのままアバダ・ケダブラの呪文で殺害されてしまったのです。
ダンブルドアを殺されたことで激昂したハリーは、スネイプを完全に敵と見なして「セクタムセンプラ」の呪文を唱えました。
これは「謎のプリンス」の本に書かれてあった闇の魔術で、一度ドラコに使った際にはドラコの全身を切り裂いて重傷を負わせたほどの危険な呪文です。
スネイプもこの呪文により切り裂かれるかと思われましたが、あっさりと攻撃を跳ね返し、ハリーは吹き飛ばされます。
そして驚きのセリフを口にしたのです。
ダンブルドアが命を落としたことでホグワーツの空には大きなドクロの雲が浮かび、校長の死を悟った生徒達は悲しみながら全員杖を空に向け、哀悼の意を表しました。
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デスイーター達が去った後、校長が苦しんで手に入れた分霊箱を開けてみると、そこには「R.A.B」という人物の書き置きがあり、本物はすりかえられていました。
そこでハリーは決心します。校長の遺志を継ぐためにも、本物の分霊箱を手に入れ、他の分霊箱も探して壊すための旅に出る、と。
ロンとハーマイオニーもハリーのもとへ駆けつけ、一緒に行くと伝えます。
大切な人たちの仇を討つための、厳しい戦いが始まろうとしているところで、お話は次作に続きます。
いったいどうなるんだろう?! 早く次作も見なくちゃ!
解説でもっと分かる!『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
スネイプがした「破れぬ誓い」って?
スネイプはドラコの母・ナルシッサと「破れぬ誓い」を結びました。
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これは魔法使いを契約で縛る魔法であり、その名の通り破ることのできない誓いです。
誓いを交わしたあとにその約束を違えると、その魔法使いには死が待っています。
そんな重大な契約で、スネイプは「ドラコの任務をサポートし、ドラコが任務を果たせなかった時にはスネイプがそれを遂行する」という約束をしたのです。
そもそも、「任務」とは何なのでしょうか。
それは、ダンブルドアの殺害です。
これはヴォルデモートからの指令だと言いますが、ヴォルデモートは本当にドラコに校長を殺すことができると考えていたのでしょうか。いいえ、そうは思っていなかったでしょう。
そもそも、ドラコはいけ好かない奴ではあったものの、デスイーターになったり人を殺すほど闇に傾倒していたようには見えませんでした。
なぜドラコはデスイーターになったのか?
ダンブルドアを殺そうとした時に、ドラコは腕にある闇の印を見せました。
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これはデスイーターの証で、ヴォルデモートの命令に逆らうことができないということを意味します。
根性の無さそうな彼が、なぜデスイーターになったのか。それは彼の父、ルシウス・マルフォイに原因があります。
ルシウスはデスイーターとして失態ばかりおかしていたため、怒ったヴォルデモートがその責任を取らせるために息子のドラコをデスイーターにしました。
ヴォルデモートはドラコのような小心者にダンブルドアが殺せるはずがないと思っており、失敗するはずのドラコを、それを理由に殺して両親への見せしめにしようとはなから考えていたのです。
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そんな結果を危惧して、ナルシッサはスネイプにドラコの援護を頼みに来たのでした。
「フェリックス・フェリシス」って?
ハリーがもらったフェリックス・フェリシスは、幸運を呼ぶ金色の液体です。朝に大さじ2杯飲むだけで、その日は最高の1日になるといいます。
ただし自分の限界を超えたことはできず、自分の出来る範囲での最高の幸せが訪れます。
ハリーがこの薬を飲むと、その瞬間から異常なハイテンションになりました。
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「分霊箱(ホークラックス)」って?
魂を分割して保存する方法が分霊箱であり、たとえ肉体が滅ぼされても分霊箱が残っている限り死ぬことはなく、不死身に近くなるのです。
本来、魔法で人を殺すことは禁忌であり、それをすると自分の魂が引き裂かれてしまいます。
しかし分霊箱の作成ではそれを利用して、生けにえとして他者を魔法で殺害することで意図的に魂を分割し、保存するのです。
これは自分のために人の命を奪う行為であるため、魔法界で最も邪悪な魔法と見なされています。
存在自体もごく一部の者しか知らず、この魔法の名を口にすることすらホグワーツでは固く禁じられているのです。
分霊箱にするのはどんな物でも生きものでもよく、ハリーが2作目の『秘密の部屋』で破壊した(バジリスクの牙で刺した)「リドルの日記」も分霊箱の1つでした。
なぜスネイプはダンブルドアを殺したの?
スネイプはホグワーツの教師でありながら、なぜ校長のダンブルドアを殺してしまったのでしょうか。
完全にヴォルデモートの配下に染まってしまい、ヴォルデモートのために殺したのでしょうか。
「いやいや、破れぬ誓いをしちゃったから、仕方なくだったんじゃないの?」と思っている方も多いはず。
確かに、ドラコが任務に失敗したあの場面で、スネイプがやらなければ契約違反で死ぬことになっていたはずです。では、自分の身を守るために殺したのでしょうか。
それもありますが、それだけではありませんでした。その理由は、このあとご説明します。
ダンブルドアの「頼む」って?
ダンブルドアの最後の言葉は、スネイプに対して発した「頼む」という言葉でした。これはいったいどういう意味だったのでしょうか。
「頼むから殺さないでくれ」という命乞いでしょうか。
実際、そう受け止めた多くの映画視聴者は、スネイプを「なんてひどい裏切り者だ!」と思ったようです。
しかしその真実は、次の『死の秘宝』で明かされることになります。
- ちょっと先取りのネタバレで知りたい方はクリック!
- 実は、スネイプは二重スパイでホグワーツ側の人間でした。
あのヴォルデモート相手にそんなことが可能だったのは、スネイプが閉心術の達人だったためです。
ダンブルドアは、ヴォルデモートの懐に飛び込んだスネイプに、いざとなれば自分を殺すよう頼んでいました。
その理由はいくつかあります。
①ヴォルデモートにスネイプを完全に信頼させるため。
②ドラコを人殺しにさせないため。
③契約違反でスネイプを死なせないため。
④ニワトコの杖をヴォルデモートに悪用させないため。
最後について説明すると、ダンブルドアの持っている杖は「世界最強の杖」と言われるニワトコの杖です。
並外れた能力を持つ特別な魔法使いだけがこの杖を使いこなすことができます。
ヴォルデモートは、このダンブルドアの杖を手に入れたいと考えていました。
ヴォルデモートの杖はハリーの杖と同じ材料(ダンブルドアの飼っている不死鳥の羽根)で出来ている「兄弟杖」であったため、一番殺したいハリーをこの杖では殺すことが出来なかったからです。
しかし杖というものは、本体を手に入れただけではその能力の全てを手に入れることができません。
元の所有者に打ち勝って忠誠心(所有権)を手に入れた者が使ってはじめて、その真の魔力を発揮するのです。悪の魔法使いであるヴォルデモートがニワトコの杖とその忠誠心を手に入れることを、ダンブルドアは危惧していました。
そこで、スネイプに自分を殺させて忠誠心の移動を防ごうとしました。
杖の忠誠心が移るのは「持ち主の意に反して誰かが杖を奪った時」であるため、自分の立てた計画により殺されれば杖の所有権は自分にあるまま葬れるとダンブルドアは考えたのです。
そうして、もしこの杖がヴォルデモートの手に渡っても杖が全力を発揮できないようにしようとしたのです。
その計画通りダンブルドアはスネイプの手によって殺害されますが、そこにはひとつ誤算がありました。
スネイプがダンブルドアを殺す前に、ドラコが「エクスペリアームス」の呪文でダンブルドアを武装解除させていたのです。
これによりニワトコの杖の忠誠心はドラコのものになっていました。
しかしそんなことも知らないヴォルデモートは、杖の所有権はスネイプに移ったものと考えています。
それがどんな結末に結びつくのかは、次作をお楽しみに。
ダンブルドアはまだまだ生きられたのでは?
最終決戦を待たずに、命を落としてしまったダンブルドア校長。
「なんてもったいない!」と思ってしまいますよね。
魔法使いの寿命は人間の倍以上あり、ここでこんなことがなければまだまだ活躍できていたのではないかと思うでしょう。
しかし、ダンブルドアはすでに116歳。
しかも、今年中には死ぬことがすでに決まっていたのです。
これに関して映画ではそこまで詳しく説明されていなかったため、「えっ、そうなの?!」という方もいるかもしれません。
実はそうなんです。
その理由は、「マールヴォロ・ゴーントの指輪」。この『謎のプリンス』の直前にダンブルドアが見つけていた、分霊箱の1つです。
ダンブルドアはこの指輪を後に破壊しましたが、その前にこの指輪をはめてしまいました。
それは指輪についていた石が、死の秘宝の1つである「蘇りの石」であったためです。
死んだ人に会って話ができるというこの石で、亡くした妹にどうしても会いたいという欲望が芽生えてしまったダンブルドア。
そして指輪をはめてしまったことで、指輪にかけられていた強い呪いを受けてしまい、スネイプにすぐに治療してもらったものの余命1年を宣告されていたのです。
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それが映画のラストシーンの前の年のこと。つまり、スネイプに殺されなくともダンブルドアはあと数ヶ月しか生きることは出来なかったのです。
- 先取りネタバレの続き話。
- あとわずかしかない自分の命をどう有効に使えるかとダンブルドアが考えた結果が、先ほどの「スネイプによる自分の殺害計画」だったんですね。
自分の死さえも戦いのカードにするという行動から、普段は情に厚い彼の、冷徹で戦略的な一面が見てとれます。
ダンブルドアの冷徹な面は、この後の『死の秘宝』で出てくる昔のスネイプとの回想でも垣間見ることができますよ。
そりゃあ、ただ優しいだけの人がたどりつけるような立場じゃないもんね。
力も知識もあって頭もキレるから最強の魔法使いなんだね。
呪文「アバダケダブラ」って?
呪文「アバダケダブラ」は、シリーズ全作品の中でも最強の攻撃魔法であると言われています。
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外傷を一切与えずに対象の命を瞬時に奪うという、禁忌の闇の魔術です。
過去作でシリウス・ブラックがこの呪文により命を奪われたことが印象深いかと思います。
そんなシリウスが初登場した『アズカバンの囚人』の記事もぜひチェックしてみてくださいね!
ハリー・ポッターシリーズの第3作目、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は、ハリーの両親の死の真相に近づいていく物語です。全2作の子供向けというイメージを覆す作風となったことが話題になりました。 今回は、新たに加わったキャストを中心[…]
今作でもダンブルドアがこの呪文により命を落としてしまいました。
ダンブルドアでさえ防げないなんて…と感じてしまいますが、この呪文には反対呪文が存在しません。当たれば死ぬため、避けて当たらないようにするしか手だてのない呪いなのです。
そんな最強の呪文なら悪い奴が使いまくるのでは?と思いますが、普通の魔法使いがこの呪文を唱えても人を殺害することはできないようです。
強力な魔力を持つ魔法使いが強い殺意を持った時のみ使える闇の魔術が、この「アバダケダブラ」なのです。
ちなみに作者によるとこの呪文はメソポタミアで話されたアラム語が由来で、「それを破壊せよ」「それを消せ」という意味の「avada kedavra」が語源になっているそうですよ。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を見よう!
いかがでしたでしょうか。
この記事では『ハリー・ポッターと謎のプリンス』あらすじと解説をご紹介しました。
見たことがあったけれどなんとなく見ていた方は、改めて気付いた点などもあり、「もう一度見てみようかな?」と思っていただけたのではないでしょうか。
「もう全部知っていた!」という作品ファンの方なら、あらすじを見ているうちにもう一度見たいシーンが出てきたかもしれませんね。
まだ見たことのなかった方でこの記事を読まれた方でも、映像を実際に見ていただければ、魔法の世界の世界観をさらに楽しんでいただけますよ!