ポン・ジュノ作品「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」徹底解析‼︎

皆さんは、第92回アカデミー賞を受賞したポン・ジュノ監督をご存知でしょうか?

まさに今、話題の人ですよね。

韓国の映画監督なのですが、実はポン・ジュノ監督は、”韓国のスピルバーグ”または“韓国の黒澤明”と呼ばれる程の実力のある監督なんですよ。

…なんて言っていますが、僕も実はつい最近知ったばかりなのです。

映画を見るのは大好きで「hu-lu(フールー)」や「U-NEXT」でよく見るのですが、ジャンルとしては洋画が主なんですよね。

しかし、この頃頻繁にテレビで紹介されているので流石に気になって、ポン・ジュノ監督の作品を見たくなりU-NEXTで見てみたんです‼︎

感想を一言で言うと「面白い‼︎」

是非、皆さんにも観て欲しいと思い記事にすることにしました。

今回は、ポン・ジュノ監督の代表作のひとつ「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」を紹介したいと思います。

動画配信サイトは登録は必要ですが初月無料のものも多いので、この機会にポン・ジュノ監督の軌跡を一緒に振り返りましょう‼︎

 

グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-

 

この作品を見て最初に思ったことは、「沢山の見どころが散りばめられている」ということでした。

環境汚染や政府の対応・異常者として扱われてしまうことに対する憤り、そして家族愛。

たくさんのキーワードの中で、ポン・ジュノ監督が一番伝えたかったことは…。

そんな事を考えながら観てみると更に楽しめるかもしれないですね。

もちろん、僕も僕なりの回答を見つける事ができました。

では早速、ポン・ジュノ監督の世界観の中に入っていって映画の旅を楽しみましょう‼︎

あらすじ

■タイトル:グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-
■監督:ポン・ジュノ監督
■公開日:2006年7月27日(韓国)/2006年9月2日(日本)
■ジャンル:ホラー、ドラマ
■上映時間:120分

本作品は首都ソウルの中心を南北に分けて通過する広大な河「漢江(ハンガン)流域」が主な舞台となっており、製作費12億円を投じて作り上げた巨大怪物が登場するパニック映画です。

時は2000年。在韓米軍基地が化学物質を下水へ大量投棄したという実話をもとにストーリーが始まります。

捨てられた化学物質はソウル中心部を流れる河「漢江(ハンガン)」へと流出してしまいます。

そして6年後の2006年。

漢江(ハンガン)の河底から、突然、両生類のような巨大な怪物(グエムル)が出現し、街中がパニックに陥ります。

猛スピードで次々と餌食にしてゆく怪物と逃げ惑う人々。

そんな中、河川敷で売店を営むパク一家の娘ヒョンソがグエムルに捕まり、そのまま河の中に引きずり込まれてしまいます。

河の中に引きずり込まれた中学生の我が子を助けるために、父親のカンドゥとその一家がグエムルに立ち向かっていくというストーリーです。

出演者

パク・カンドゥ役:ソン・ガンホ
パク・ヒボン役:ピョン・ヒボン
パク・ナミル役:パク・ヘイル
パク・ナムジュ役:ペ・ドゥナ
パク・ヒョンソ役:コ・アソン
セジン役:イ・ジェウン
セジュ役:イ・ドンホ
ナミルの先輩役:イム・ピルソン

グエムル(怪物)役:オ・ダルス

監督・・・ポン・ジュノ
脚本・・・ポン・ジュノ、ハ・ジュンウォン、ペク・チョルヒョン

見どころ

風刺的要素

ストーリーの始まりである、漢江(ハンガン)に化学薬品を流出させたシーンは、実話にもとづく社会風刺であり、反米的な要素があるとポン・ジュノ監督自身が解説しています。

また、作品の中に登場する「エージェント・イエロー」という化学兵器(クライマックスでグエムルを倒すために散布された薬剤)は、アメリカ軍がベトナムで使用した枯葉剤「エージェント・オレンジ」にかけており、アメリカ軍を風刺したものだそうです。

怪物:グエムル

デザイン:チャン・ヒチョル
制作:WETAデジタル・ザ・オーファナージ
作成期間:2年6ヶ月
作成費用:約50ウォン(約6億円)

キャラクターを「憎めない悪役」とし、キャラクターイメージの一人として竹中直人さんの名前が上がっていたそうです。

制作に日本人の名前があがるだけで、少し親近感が湧いてきますよね。

ストーリーの中では、「憎めない悪役」をしっかりと全うし、クラマックスで苦しみもがく姿には心が締めつけられるのを感じてしまいました。

■ニュージーランドに所在する制作会社
■参加作品
・ロード・オブ・ザ・リング
・キング・コング
・アバター

ヒューマンドラマ的要素

ポン・ジュノ監督は「描きたかったのは、怪物の登場によって起こる人々の反応なのです」と語っています。

そうなんです。このパニック映画は、人々の心理的側面にスポットを当てた作品なのです。

その中でも最も目につくのが、主人公パク・カンドゥのダメっぷりです。

中学生の子供にお酒を勧める姿や、売り物であるイカゲソをこっそり食べて怒られるなど、緊張感のない役柄でストーリーを展開させていきます。

そして、怪物「グエムル」が登場すると…

戦ったのです‼︎ダメっぷりを効かせて逃げるのかと思いきや、自分の身長の倍はあるであろうグエムルに勇敢に立ち向かって行く姿に目が離せなくなります。

ヒョンソが河の中に引きずりこまれた時には、泳げないにもかかわらず河に飛び込み助けようとする正義感の強さを見せつけます。

さすが主人公‼︎頼り甲斐があるなぁ。なんて思いながら観ているとあることに気がつきました。

失敗が許されない大事なところで失敗をする。

■ヒョンソがグエムルに捕まる前。手を引いて逃げるシーン。
■カンドゥの父親であるヒボンに銃を渡すシーン。

ここぞというところでキメる事ができない間の悪さと、周りを巻き込んでも自分は助かるという強運を持ち合わせた人物像はなぜか憎めず、自然と魅力を感じ引き込まれていくのを感じる事ができます。

以上が「グエムル-漢江の怪物-」のあらすじと見どころの紹介でした。

怪物が登場しパニックになるというダイナミックな設定と、その中で人々がどう動くのかというデリケートな着眼点の両方を持ち合わせているポン・ジュノ監督。

一体、どういう監督なのでしょうか?

次にポン・ジュノ監督についてご紹介したいと思います。

 

ボン・ジュノ監督ってどんな人?

略歴

1969年9月14日生まれ (50歳)

1995年 韓国映画アカデミーを第11期生として卒業し、卒業制作の「支離滅裂」でバンクーバー国際映画祭・香港国際映画祭に招待されます。

その後「吠える犬は噛まない」でデビューを果たし、人間の内面を描写する作品を次々に制作しその名を広めていきます。

最新作「パラサイト 半地下の家族」(2020年1月 日本公開)でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し一躍有名になりました。

代表作

1994年 支離滅裂

2000年 ほえる犬は噛まない

2009年 母なる証明

2006年 グエムル-漢江の怪物-

2013年 スノーピアサー

2017年 オクジャ

2019年 パラサイト(半地下の家族)

 

最新作「パラサイト 半地下の家族」

ポン・ジュノ監督の最新作「パラサイト 半地下の家族」が第92回アカデミー賞の最高の栄誉である作品賞を受賞しました。

英語以外の外国語映画としてアカデミー賞作品賞を受賞したのは初めてなんだそうです。

そして、それだけではないんです。

作品賞に加えて「国際長編映画賞」「脚本賞」「監督賞」も獲得し、4冠を達成したのです。

もちろん映画館に観にいく予定ではありますが、動画配信されて何度も観れる日が来るのが今から待ち遠しいです。

 

おまけ:グエムル2

韓国のコミック作家カン・フルが脚本の執筆に着手しており、ポン・ジュノ監督は続投しないという話を聞いた事があるのですが、あまりにも情報が少なすぎて詳細不明です。

「グエムル2」では舞台を変え、前作の3年前に遡ります。

ソウル市内を流れ、長い間下水道代わりとして利用されてきた清渓川(チョンゲチョン)で複数の怪物が登場する「怪物映画」とのこと。

下水道代わりとして使用されていたのは実際の出来事なので、これもまた風刺的要素のある作品と言えます。

 

まとめ

本日は、ポン・ジュノ監督の代表作「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」の紹介をさせて頂きました。

社会風刺をしながら登場人物のパニックに対しての反応を描いた、「怪物映画」の枠に収まりきれない内容の濃い映画でしたね。

それに加えてグエムルの製作は、ロード・オブ・ザ・リングやアバターを担当したWATEデジタルが担当しているのです。

尚更、興味をそそられますよね。

良い意味で僕の期待を裏切ってくれた「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」は、U-NEXTNetflixで観ることが観ることができます。(2020年2月現在)

動画配信サイトで当作品を観た後に、アカデミー賞受賞の「パラサイト 半地下の家族」を観た方が、ポン・ジュノ監督作品の特徴が掴めてより一層楽しめると思います。