「ゲームオブスローンズ」ってどんなドラマ?
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ゲームオブスローンズを見たけど途中で挫折しちゃった人にも、これから見始める人にも理解しやすいように最初に概要を説明します。
「ゲームオブスローンズ」の人気がすごすぎる!
「ゲームオブスローンズ」の人気度は世界でも群を抜いています。
世界レベルで見ると184カ国で放送され、歴代最高視聴率をどんどん塗りかえてきました。世界中の人々に愛される「ゲームオブスローンズ」はロケ地ツアーも開催していて、その中でも特に人気のある北アイルランドのロケ地ツアーでの経済効果はなんと年間で240億円を超えています。
アメリカ・テレビ界の最高峰と言われるエミー賞では、通算161回ノミネート、そのうち59回受賞。この実績はエミー賞歴代最多記録です。さらにシーズン5〜8の4シーズン連続で作品賞ドラマシリーズ部門を受賞。
エミー賞はテレビドラマ界のアカデミー賞のようなもの。そんなテレビドラマ界きっての誇り高きエミー賞でこれだけの実績があるのは、ゲームオブスローンズが世間に認められている証拠です。つまり、簡単に言うと、とてつもない魅力を秘めたテレビドラマであるということです!
また、よく比較されるのが同様にたくさんの賞を受賞した「ブレイキング・バッド」や「ウォーキングデッド」のようなロングランの海外ドラマ。この二つのドラマに思いっきりハマった人たちでさえ、「ゲームオブスローンズは比べものにならない」「次元が違う、格別」と言わしめるほどの人気ぶり。
全世界同時放送された最終話では、歴代最高の視聴率を記録するという快挙を成し遂げ、さらにはキャラクターの名前を子どもに名付ける親が急増!「カリーシ」、「アリア」が特に人気の名前だったようです。
「ゲームオブスローンズ」ってどんなストーリー?
「ゲームオブスローンズ」は、7つの国が存在する架空の大陸「ウェスタロス」を舞台に、全ての王国を支配する「鉄の玉座」を懸けて各王家が壮絶な争いを展開するハラハラ・ドキドキのファンタジードラマです。
このドラマには3つの軸が存在します。ストーリーを理解しやすいようにこの3つの軸を頭に入れて見始めるのがオススメです。
「ゲームオブスローンズ」の3つの軸
- 鉄の王座を賭けた各王家の壮絶な戦い
7つの国が存在するウェスタロスを統一しているのはロバート・バラシオンというバラシオン家の王。しかし「王の手」と呼ばれる王の側近が謎の死を遂げ、玉座の立ち位置が徐々に崩壊し始める。ここから物語がスタートし、政権を奪い取ろうとする者、政権を守るために動く者のまさに群雄割拠の物語。様々な人物の陰謀や策略・裏切りが交錯し、王座奪還は一筋縄ではいかない。「鉄の玉座」は一体誰の手に渡るのか、血を血で洗う壮絶な権力争いが大きな軸となっている。
- 壁の向こうの邪悪な種族「ホワイト・ウォーカー」との戦い
北にそびえる高さ200メートル以上ある氷の壁の向こうに存在するとされるホワイト・ウォーカー。不死であり、殺した人間を亡者にして操り軍勢に加える力を持ち、ウェスタロスで最も恐れられる生き物とされる。その異形の種族ホワイトウォーカーが、北の地で次々と生き物を殺し、死者を軍勢に加えながらウェスタロスへ迫ってくる。ウェスタロスの人々は結集し、壁を作り、壁と国を守るために戦うが…果たしてその結末はいかに…?
- 別の大陸「エッソス」に存在する「鉄の玉座」奪還をもくろむターガリエン家の物語
この物語が始まる数百年前から玉座の地位を手にし、長い間7王国を統一していたターガリエン家。かつてはドランゴンを従え、7王国の上位の家として300年近くもウェスタロスを統治し、他の王国に恐れられる存在であった。しかし十数年前にロバート・バラシオンに鉄の玉座を奪われ、ターガリエン家のほとんどが虐殺された。かろうじて生き残ったヴィセーリス(兄)とデナーリス(妹)は、ウェスタロスの大陸から離れたエッソスに亡命し、そこで「鉄の玉座」を奪還する手段を模索し始める。
この3つの軸は互いに関連していて、ストーリーが進むほどそれらが結びついていきます。この3つの軸さえ頭に入れておけばドラマの壮大なスケールのストーリーも簡単に理解できると言われています。
登場人物が多すぎる上に世界観がよくわからないという人も、3つの軸に沿ってストーリーを見てみてください。
最初はどうしても「この人誰?」「どういうこと?」とツッコミを入れたくなりますが、そこを乗り越えると面白みが増してきて大変な中毒症状が現れますのでご注意を。登場人物が把握できてきて、最初は分からなかった伏線の意味がつながってくるシーズン2〜3でハマりだす人が多いようです。
「ゲームオブスローンズ」はR15指定作品となっていますので、視聴の際はご注意ください。
ハマる理由と魅力とは?
一番の魅力は人間ドラマ
このドラマの一番の魅力は、なんと言っても「それぞれのキャラクターの個性」と「多くの登場人物が織りなす人間模様」です。
相関図なしでは把握が困難なほど登場人物が多く、最初は誰もが苦戦しますが、その関門をくぐり抜けた勇敢な視聴者だけが、このドラマの最大の魅力である人間ドラマに触れることができます。それは、ものすごい価値と魅力が詰まった人間ドキュメント。
例えば、イケメンでお金持ち、権力も併せ持った全て思い通りの人生を歩んできた男(某キャラクターA)は、あることがきっかけで人生が急降下。今まで自分が歩んできた人生を見つめ直し、本当に大切なものは何かを考え、第二の人生を歩み始める。
また、人を殺すために生まれてきたような残虐な男(某キャラクターB)は、あることをきっかけに心を入れ替え、危険を冒してまで誰かを守ろうとする。かつては好き好んで人を平気で殺すような暗殺マシーンだった彼が、自分に何の利益がなくとも必死で人を守ろうとする優しい人間に変わっていく。
ほんの一例を挙げましたが、登場人物一人一人に、個性やストーリー、人間らしさがあります。人間の成長、更生、没落、成功、挫折、愛情、友情、苦悩、克服、裏切り、復讐…様々なテーマをバラエティに富んだキャラクターが描き出す、壮絶な人間ドラマは必見です。
ドラマの主人公が設定されていない
また、このドラマには主人公が設定されていないところも人気の理由。多くのドラマは主人公がいて、その主人公に寄り添ってドラマを見ますが、「ゲームオブスローンズ」では誰に寄り添うかはあなたの自由。魅力的なキャラクターが勢ぞろいしているので、どのキャラクターに感情移入をするか本当に迷ってしまいます。自分のイチオシのキャラクターと一緒に物語の世界を旅してみてくださいね。(そのキャラクターが突然殺されたりという衝撃が走るのもまた面白いですよ。)
また「主人公がいない」からこそ、成せる技があります。それは、善と悪の境界線がなくなり、多面的に物語を視ることができること。悪には悪の正義があって、それが別の視点から見ると善なのかもしれない、そんな様々な解釈ができるストーリーだからこそこんなにも多くの人を魅了するのでしょう。
それぞれのキャラクターの背景が、物語の大きなストーリーラインに深く関わってきます。
予想を裏切るまさかの展開に目が離せない
また、次から次へと巻き起こる予想をはるかに超えた衝撃の展開の数々は視聴者の心を掴んで離さない理由の一つです。
個々のキャラクターが唐突に予測もしない出来事に巻き込まれたり、まさかそんなことをしてしまうのかと目を疑うほどの展開になったりと、とにかく目が離せない構成になっています。映画やドラマを観るとき、偏見や主観が入ったり、次の展開を予想したりしている人も多いと思いますが、このゲームオブスローンズに関しては予測なんて以ての外!
主人公が設定されていないからこそ、「この人は主人公だから生き残るんだろうな〜」みたいな予想もできません。
「まさか…そうはならないよね…?え、なっちゃったんだ」とか
「やっぱり期待通りこうなった!と思っていたら実は期待を裏切られた」とか
「えええええええ、うそでしょー!」な展開がとにかく満載です。
「こう見せかけて実はこう」「味方かと思っていたが実は敵」そしてその逆のパターンも…。ジェットコースターのように次々と巻き起こる展開にドキドキしっぱなし、もう振り回されっぱなしです。
脚本の緻密さに圧巻。結末がいつも想像の遥か上をいっちゃってます。
何が起こるかもう全くわからないドラマです。頭をフラットに、身を預けてドラマの世界観を存分に堪能してください。
ファンタジーが苦手な人も楽しめる構成
さらにこのドラマが面白いのは、ファンタジー大作でありながら、超常現象の描写が比較的少ないローファンタジーとなっているところ。
つまり、魔法が万能ではないんです。ドラゴンやホワイトウォーカー、死者の蘇りなどのファンタジー的な要素は出てくるものの、それらが何でも都合よく解決してくれるわけでもなければ簡単に理解できるものでもありません。
物語の中心にはいつも人間の本能・残虐さが描かれていて、だからこそ「魔法」というファンタジーが独特の重みや現実味を帯びて感じられます。この感覚は他のファンタジー作品では味わうことができない大きな魅力です。
圧倒的スケールの映像と細部まで凝った演出
制作費は1話あたり、なんと1000万ドル(約10億円)!1シーズンじゃなくて1話あたりの金額ですよ。その金額は、日本の実写映画の平均金額5000万円のなんと20倍。ゲームオブスローンズのドラマたった1話の製作費用で20本の邦画が作れちゃうんです。
しかもその制作費はシーズンを追うごとにさらに高くなっていきます。
このドラマは、ドラマであってドラマではないスケール感です。まるで映画をみているような感覚。いや、そのへんの映画をはるかに上回る壮大さです。CG、ロケーション、人の多さ、衣装、戦いのシーンなど、堂々たる映像に目を奪われます。細部にまで凝った衣装や背景、至るところでこだわった演出が臨場感を引き立てます。
現代の社会問題にも通じるテーマが垣間見られる
ドラゴンが火を噴き、魔物が人を襲い、魔術師が死者を蘇らせる非現実的なファンタジードラマでありながら、現代社会に通じるテーマも垣間見られます。
それは人種差別や女性蔑視の問題を彷彿とさせるシーン。社会的立場の弱い者に対する扱いは屈辱的で見るに耐えません。男性優位、人種差別が当たり前の世界で、強く必死に生きる人間の姿は、現代社会に一石を投じるものがあります。
玉座を狙うデナーリス・ターガリエンやサーセイ・ラニスターの直接的な挑戦だけでなく、幼くして暗殺者の道へ進むアリア・スターク、愛するものの復讐のために当主を皆殺しにするエラリア・サンドなどなど、彼女たちが体現した女性のあり方は、女性からも圧倒的支持を集めています。
中世ヨーロッパの戦乱の世をイメージさせるドラマの中に、ファンタジー世界であるからこそリアルに描かれる普遍的な社会問題。歴史ドラマの重厚感を持ちながら、現代的なテーマを違和感なく内包している点も魅力の一つなんだと思います。
僕たちに「生きる」というテーマを与えてくれる
多くの登場人物を通して「腐敗した世の中でどうやって生き抜いていくのか」「自分自身の立場や社会がこの先どうなっていくのか? その鍵を握る重要な場面でどういう選択をするのか?」という問いかけは、まさに現代社会に生きる僕たちへの問いかけのように感じます。
社会のしきたりに従ってのしあがる人もいれば、真っ正面から勝負を挑む人もいる、冷静に状況を観察して行くべきところで出る人もいる、そういった巧みな人間描写が視聴者を惹きつけてやみません。
会社で上司に「こういうことやれ」と命令されて、納得がいかないけど仕方なくやったり、異議を唱えたり、異議唱えたら左遷されちゃったり…。そういう僕たちの社会とすごく似ている部分があるんです。
キャラクター全員が、ひとりも正しい行いを貫くことができない。そういった人間の弱さ・欲望も繊細に映し出されています。「この人がここでこういう選択をしちゃうんだ」っていう局面もたくさんあり、そういう人間臭い部分がまた自分と重なったりして共感が持てるんですよね。
他にも魅力がいっぱい
このドラマは視聴者に容赦がない!
最低限のヒントだけ与えて、あとは読み取れ、ついてこいと言わんばかり。視聴者は頭をフル回転させてついていく。登場人物が多く、関係性も複雑ですが、相関図を手元に置いてみる人が続出。能動的・積極的にドラマに入り込ませるテクニックがお見事。(ド、ドSですか…)
エロティックでグロいシーンが続々。
全裸の男女が重なり合うシーンに、首や腕が飛んで内臓まで出てくるシーンも。こういった過激でグロテスクな部分もありのままにさらけ出してくるところがリアルで引き込まれる。刺激が満載です。
生まれた家系で運命が決まる時代の切なさを思わせるドラマ。
生まれ持った運命を受け入れるのも、その運命を自分で変えようと戦うのもどちらも正解なんだと思わせられる。どんな家に生まれようと、どんな運命が待っていようと自分の人生を決めるのは自分だと勇気付けられるドラマ。
綺麗事だけでは生きられない。
主人公がいて、主人公の正義が勝つなんていう綺麗事だけのドラマじゃないところがいい。人間の醜さや欲望・愚かであることも愛おしく感じる。
さいごに
いかがでしたか?今回は「ゲームオブスローンズ」にハマる理由や魅力を紹介してみました。
ただのファンタジードラマだと侮っているあなた。人間ドラマにジェットコースター級のハラハラ・ドキドキな展開、そして僕たちに生きるというテーマまで教えてくれる、そんなファンタジードラマが他にあるでしょうか?
シーズンが進むごとに最初は分からなかった話の伏線や登場人物がどんどん繋がっていき、ストーリーに深みが出てきてどんどん面白くなります!2〜3シーズン見た頃には、ハマってしまうこと間違いなしです。
「ゲームオブスローンズ」はHulu、amazonプライム・ビデオで見られます。(2020年4月現在)
あなたもゲームオブスローンズの世界にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。
ハマりすぎて寝不足にならないように注意しなきゃね。