「伝えたい真実」ってなんだろう。と、このキャッチコピーを目にしたときは頭から離れませんでした。
今回は、スティーブン・スピルバーグ監督作品の「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」をご紹介します。
アメリカで2017年製作。日本では2018年3月30日に公開された作品です。
2大オスカー俳優のメリル・ストリープとトム・ハンクスが奇跡の初共演として当時話題にもなりました。
社会派なドラマとして強いメッセージと物語を秘めた作品です。
実在するジャーナリストが、報道の自由と信念を貫いて闘った実話映画作品なのです!
2018年の第90回アカデミー賞で6部門もノミネートされた「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」をあらすじを紹介しながら、2大オスカー俳優と主なキャストも紹介していきます。
スピルバーグ作品「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
あらすじ
泥沼化してしまったベトナム戦争。『リチャード・ニクソン大統領』政権の1971年、アメリカの国民はこのベトナム戦争に反戦や疑問の声が高くなっていました。
このベトナム戦争を記録し、分析した国防省の最高機密文書が通称【ペンタゴン・ペーパーズ】。
【ペンタゴン・ペーパーズ】の存在を政府が隠していることを、当時のニューヨークタイムズが突き止めスクープします。
ライバル会社のワシントンポスト紙で亡き夫の代わりに社主をしていたキャサリン・グラハムと、編集を担当している中心人物ベン・ブラッドリーが【ペンタゴン・ペーパーズ】を手に入れるために奮闘します。
政府は、ニューヨークタイムズに記事の差し止めを求めました。
そこに新たに手に入れた文書の内容をワシントンポストが記事にしてしまうと、ニューヨークタイムズと同じ目に合うと恐れた会社の経営陣と『報道の自由』を掲げて掲載をしたいと対立するブラッドリー率いる記者たち。
キャサリンは、会社経営陣とベンたち記者が掲げている『報道の自由』の間で揺れ動く想いや決断に苦悩します。
会社の経営・報道の自由・政府との対立…伝えたい信実とは!?
実在するジャーナリストたちの闘いを描いた作品
この作品は、実在するジャーナリストたちがベトナム戦争時代に報道の自由と真実を国民に知らせる為に、政府や会社の経営陣と闘い、奮闘した実話を元に描かれた物語です。
政府を敵に回しても報道したかった事実。大きな力にも屈せずに報道の自由を掲げて立ち向かうってすごいですよね。
ワシントンポスト紙はもともと、キャサリンやベンが持つ強い政治家の人脈もあり、政府を批判するような記事は【ペンタゴン・ペーパーズ】の事実が発覚するまでは一切書かない、政府よりな新聞社だったそうです。
そのポスト紙が、政府を敵に回して真実を伝えようと奔走したのだからすごいですよね。
スピルバーグ監督作品×2大オスカー俳優が初共演!
スピルバーグ監督が作品に込めた想い
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」は、スティーブン・スピルバーグ監督が現代への強烈なメッセージを込めて「今、撮るべき作品!」として、撮影中の他の作品を差し置いてメガホンを取った渾身の作品と言われています。
第90回アカデミー賞で『作品賞/主演女優賞』でノミネートされました。
スピルバーグ監督作品の「プライベート・ライアン」など、スピルバーグ監督とトム・ハンクスは何度もタッグを組んできました。そこに大女優メリル・ストリープが加わり「渾身作!」と言われたことがわかります。
さて、次に2大オスカーの俳優と他、主なキャストを紹介します!
2大オスカー俳優メリル・ストリープとトム・ハンクス
画像出典:Amazon
自殺した夫のフィリップ・グラハムから経営を引き継いだ、ワシントンポストの社主兼発行人。
重要人物との交流が多いキャサリンは、友人であるマクナマラ長官たちと交流のさなか【ペンタゴン・ペーパーズ】の存在を知って部下であるベンと情報を探る。
信頼関係を築いてきたベンと【ペンタゴン・ペーパーズ】の掲載を巡って会社の経営陣との間で揺れ動く中、意見をぶつけ合っていく。
1975年にニューヨークへ移り住み、舞台俳優としてデビュー。
『訛りの女王』と言われていて、発音が最も難しいと言われているロシア語訛りのポーランド語やドイツ語・ポーランド語訛りの英語などなど作品の背景や役によってアメリカ各地の微妙なイントネーションを使い分けしてその地域の訛りを完璧に再現して演じている。
また、作品ごとの演じる役に成りきるために撮影前には自身で徹底リサーチをすることで有名。
ミュージカル映画にも出演しているメリルは、音楽の世界でも絶対音感を持っているという多才の持ち主。
男女通して、アカデミー賞ノミネートの数が歴代俳優の中で世界一として誇っている。
1980年に映画デビュー。俳優になる前は全米で有名なコメディ番組に出演し、若手コメディアンで活躍していた。
俳優から映画監督・プロデューサーなど幅広く活躍している。
2年連続でアカデミー賞男優賞を受賞し、数々の大作で主演を務めあげている。
2001年公開の戦争映画において、第二次世界大戦が舞台の「バンド・オブ・ブラザース」ではスティーヴンスピルバーグと一緒に製作指揮をし、息子:コリン・ハンクスも出演したことで話題となった。
また、アメリカ合衆国で最高位の勲章である『大統領自由勲章』を受賞し、2020年に『セシル・B・デミル賞』を受賞した。
セシル・B・デミル賞(Cecil B. DeMille Award)とは?
ゴールデングローブ賞の1つの部門。長年、エンターテインメントの世界にて超越して貢献をした人物へ贈る、生涯功労賞です。
賞の名前由来は、20世紀前半に活躍し映画製作者として最も成功した人物「セシル・B・デミル(1881年-1959年)」からつけられている。
主なキャスト一覧
キャスト名 | 役どころ |
キャサリン・グラハム | ワシントンポストの社主兼発行人。 友人であるマクナマラ長官たちと交流のさなか【ペンタゴン・ペーパーズ】の存在を知って部下であるベンと情報を探る。 信頼関係を築いてきたベンと【ペンタゴン・ペーパーズ】の掲載を巡って会社の経営陣との間で揺れ動く中、意見をぶつけ合っていく。 |
ベン・ブラッドリー |
ワシントンポストの編集長。ケネディ大統領と交友関係を持っている。
地方紙であったポスト紙をタイムズ紙と並ぶ一流紙にのし上げた。 キャサリンやバグディキアンたちと協調して、文書の記事掲載を試みる。 会社の経営陣の反対にも、圧力をかけてくる政府に屈せず報道の自由を守るために強い意志を持って戦う。 |
トニー・ブラッドリー | ベン・ブラッドリーの妻。 ベンを献身的に支えるが、キャサリンと同じ女性の立場からキャサリンの下した決断や覚悟がどれほど大きいものなのかをベンに伝える。 |
ベン・バグディキアン | ワシントンポスト編集局次長兼記者。 前は、シンクタンクのランド研究所にて勤務。 【ペンタゴン・ペーパーズ】をリークしたエルズバーグとは元同僚で、文書を手に入れようと奔走する。 |
フリッツ・ビーブ | ワシントンポスト取締役会長。 夫に代わり経営陣となったキャサリンをそばで支え、キャサリンから全信頼を得ている。 |
アーサー・パーソンズ | ワシントンポスト取締役。 女性が社主であるのに批判的。キャサリンの経営力を疑っている。 この人物は実在せずに架空の人物であるが、当時のワシントンポストの役員たちを投影している。 |
ロバート・マクナマラ | 第8代アメリカ合衆国国防長官。 表の顔は、政府の指示通りメディアへ対応。 内心は政府がベトナム戦争の事実を隠していることへ怒りを感じ、エルズバーグたちにベトナム戦争の報告書を作成依頼する。 |
ダニエル・エルズバーグ | 元アメリカ合衆国軍事アナリスト。 報告書作成をする為、戦地を訪れベトナム戦争の真実を国民に公表しようと勤務先である研究所から文書を持ち出す。 同僚のアンソニー・ルッソと実業家リンダ・シネイの協力を得て文書を複製する。 |
俳優名 | 主な出演作品 | キャリア |
メリル・ストリープ | ・ソフィーの選択 ・マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 ・プラダを着た悪魔 ・マンマ・ミーア! ・イントゥ・ザ・ウッズ |
1975年に舞台俳優としてデビュー。 『訛りの女王』と言われている。 ミュージカル映画に数多く出演しているが、音楽の世界でも絶対音感を持っているという多才の持主。 アカデミー賞ノミネートの数が男女問わず歴代俳優の中で世界一。 |
トム・ハンクス | ・フィラデルフィア ・フォレスト・ガンプ/一期一会 ・トイ・ストーリー ・キャスト・アウェイ ・ターミナル |
1980年に映画デビュー。 俳優から映画監督・プロデューサーなど幅広く活躍している。 2年連続でアカデミー賞男優賞を受賞。 アメリカ合衆国で最高位の勲章である『大統領自由勲章』を受賞し、2020年に『セシル・B・デミル賞』を受賞した。 |
サラ・ポールソン | ・ジャック&ジル ・アメリカン・クライム・ストーリー ・アメリカン・ゴシック ・オーシャンズ8 ・バード・ボックス |
主にテレビドラマシリーズで1994年から活躍している。 ホラー系やサスペンス系に多く出演。 ゴールデングローブ賞やエミー賞に数多くノミネートされ女優賞を数多く受賞している。 |
ボブ・オデンカーク | ・ベター・コール・ソウル ・ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 ・ケーブルガイ ・ドクター・ドリトル2 ・ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 |
アメリカで人気の高いコメディ番組にレギュラーで出演。 コメディアンとして人気が高いが、放送作家としてエミー賞を受賞していて映画監督・脚本家と幅広く活躍している。 |
トレイシー・レッツ | ・プリズン・ブレイク ・DIVORCE/ディボース ・追跡者 ・フォードvsフェラーリ ・ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 |
俳優以外に脚本家として有名であり、劇作家としてもブロードウェイで成功をおさめている。 テレビドラマや映画など積極的に活動をしている。 |
ブラッドリー・ウィットフォード | ・ザ・ホワイトハウス ・ハンドメイズ・テイル/侍女の物語 ・ウォルト・ディズニーの約束 ・ゲット・アウト ・ゴジラ キング・オブ・モンスターズ |
エミー賞やゴールデングローブ賞で数々のノミネートをされている。 2001年から2003年まで3年連続ゴールデングローブ賞にノミネートされた。 俳優として数々の作品に出演している。 |
ブルース・グリーンウッド | ・13デイズ ・アイ,ロボット ・スター・トレック ・キングスマン: ゴールデン・サークル ・ドクター・スリープ |
カナダ出身の俳優。 映画以外にもテレビドラマにも数々出演してハリウッド俳優として活躍している。 |
マシュー・リース | ・ジ・アメリカンズ ・タイタス ・モーグリ: ジャングルの伝説 ・幸せへのまわり道 ・GIRLS/ガールズ |
2013年から放送されたテレビドラマ「ジ・アメリカンズ」の監督も務め、フィリップ・ジェニングス役で出演。 第70回エミー賞ドラマ部門主演男優賞を受賞した。 イギリスの俳優である。 |
まとめ
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のあらすじとキャストの紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
実話を元に作られた作品なので、臨場感をたっぷり味わえる作品だと思います。
さまざまな立場の人々の熱い絆や葛藤が描かれていますので『報道の自由』という信念を懸けた決断をぜひ、映画作品を通して体感してみてはいかがでしょうか。
スピルバーグ監督が伝えたい真実をその目で確かめてくださいね!